部屋探しをする際に、インターネットなどで目にすることがある「フリーレント」という言葉。
どういう意味かピンとこない人も多いと思います。知らないと損する可能性がありますので知っておきたいポイントです。
目次
■フリーレント意味
フリーペーパーという言葉を知っている人は多いと思います。そうです無料の冊子などです。
それと同様に、フリーレントとは無料で貸しますという事です。
不動産賃貸借では、長年無料という事はありませんが、短期の期間が設定されています。
通常では1~2ヶ月程度です。契約開始からその一定期間は家賃を支払わなくてよいのです。
例えば、1ヶ月フリーレントという条件で見ますと、4月1日から契約開始の賃貸借契約で4月1日には
入居します。しかし家賃の支払いは5月1日から発生するのです。1ヶ月間の家賃がお得になります。
このフリーレントの条件は貸主の気が向いたときに条件提示がなされます。その為、いつでもその
条件があるとはかぎりません。
■フリーレント誕生の背景
2000年頃は、なかなかそのような条件はありませんでした。しかし全国的に賃貸物件の空室率が上昇
してきた時代になると、貸主側もどうにか入居者を確保したいという思いになってきます。
特に日本では、3月と9月頃に入学(進学)・新社会人の部屋探し・社会人の転勤等の事情で人々の
移動が集中します。その3月・9月の時期は通常の募集条件ですが、その時期を過ぎると、人の動きが減少し
なかなか入居者を見つける事が難しくなってきます。部屋を探す人が少ないため、フリーレントという
サービスを提供することで、物件を気に入ってもらおうとする貸主側の思惑からこのようなサービスがあるのです。
また、借りる側もメリットがある為、年々フリーレントサービスは普及してきています。
■フリーレント適用物件の見つけ方
通常、貸主と不動産管理会社が話し合ってフリーレントを募集条件に適用させるか決める事が多いです。
人が動く時期を過ぎたころに条件が提示される可能性があります。
その為、見つけ方の重要ポイントとしては、時期になるかと思います。人々の移動時期が過ぎたタイミングですから
基本的には売れ残った物件の可能性が高いことは否めません。
インターネット等の募集条件に正しく掲載されていない事も多く、実際に不動産会社へ行って初めてわかる
事もよくあります。ポータルサイトでは最初から検索条件に設定してあり、検索で見つかる物件もありますが
交渉した結果フリーレントが適用されるケースも多くあります。一般的な例としては、不動産会社へ借主側が交渉し、
不動産会社が貸主側へ相談した結果、貸主側が譲歩し適用になるといったったような場合です。
■その他の見つけ方
最近はよくW0(ダブルゼロ)という表記を見かけます。これは敷金・礼金0円という意味です。このダブルゼロ物件を
たくさん集めてダブルゼロ特集等と広告をしていることも珍しくありません。このような物件の多くは初期費用を抑えて
入居しやすくすることが目的です。ライバル物件も多く条件緩和で入居促進を図っていますので、物件としては弱気な面が
垣間見えます。そしてフリーレントというのは、このダブルゼロの進化形と言い換えることもできます。貸主側としては
敷金も礼金も無しという条件緩和を試したもののまだ入居者が見つからないという事態になった場合、次に打つ施策をどうするか?
そうです、では最初の1ヶ月の家賃を無料にするかという発想が出てきます。
すなわちダブルゼロ物件はフリーレントの交渉が通る可能性が高い物件とも言えます。ダブルゼロ(敷金・礼金0円)という
検索項目は、インターネットポータルサイトでは非常によく見かける検索項目になっている為、ここを中心に部屋探しを進めて
気に入った部屋でフリーレント交渉を切り出すことで上手くいく可能性がありのです。
■フリーレント適用の期間はどれくらい?
フリーレント期間は1ヶ月程度が通常です。しかし、エリアによってはもうこの時期までは人が動かないという現象が
強く出るエリアがあります。例えば学生しか住まないようなエリアです。大学にすぐ近い単身用の学生アパート・マンション
等です。学生は4月から入居というタイミングになります。その為、学生街エリアでは4月より前には入居希望者の需要が
極端に少ないという事があります。そのようなエリアで9月に退去した部屋があったとします。10月~3月までの間で
入居希望者が出てくる可能性は極めて低いとしたらどうでしょう?貸主側は先回りをする発想が出てきます。このまま入居者
がいない状態が続き、4月にも入居希望者が現れなかった場合、いったい何ヶ月家賃が入らない事になるだろうかという考え
が出てきます。であれば11月からでも無料期間として4月から家賃発生とすることで、確実に入居希望者を確保できるのでは
と考えるのです。11月~3月末までの5ヶ月間を無料期間(あきらめて)4月からの家賃を確実なものにする方法です。
レアケースですが実際の賃貸市場では、このような現象が起きていることも事実なのです。今後、全国的に空室率は上昇すると
見込まれています。今はレアケースとしても、今後はこの様な事も増えてくることが予想されます。
■注意ポイント(違約について)
上記のフリーレント期間で長期フリーレントに触れましたが、この長期のフリーレント設定している物件は一定期間(長く)
住んでもらえる人に適用したいという貸主側の思惑があります。そうでなければ、フリーレント適用物件ばかりを渡り鳥のよう
に住み替えていけばずっと賃料が0円なんてことが出来てしまいます。したがってフリーレントがある場合は貸主側が最低でも
この期間は住み続けてもらいたいという期間以内の解約では違約金が設定されている可能性が高いです。なので重要事項説明書
に記載されている違約金は確実に確認しておきましょう。その定められた期間は確実または高確率で住むことになると確信できれ
ば、フリーレントは非常に借主側にメリットがあります。
■家賃減額のほうが良い?
フリーレントのメリットをお伝えしましたが、募集条件緩和には、最もポピュラーな家賃減額という方法もあります。
募集家賃から2,000円減額するのでお徳です。というシンプルな条件緩和です。
例えば5万円の物件が1ヶ月間フリーレントだったとすると、5万円お徳です。一方5万円の物件が2,000円ダウンです。という
条件だったとします。どちらが徳なのでしょう?答えはどれだけの期間住むかという事で答えが変わってきます。
2,000円×25ヶ月(2年1ヶ月)住むことで分岐点が来ます。2年1ヶ月以上住む可能性が高い人は2,000円ダウンがお徳となるのです。
最近の賃貸物件はこのような事情がある為、何年間その物件に住むのか予めわかっている場合はトータルで考える必要性があります。
■まとめ
最近の部屋探し事情は複雑になっております。日本全国的に空室が問題視される時代になっている現状があります。貸主側は
入居者を確保するのに一苦労という時代です。その為、ライバル物件より良い条件を提示することで入居促進を図ろうとします。
敷金・礼金0円やフリーレントや家賃ダウン等はよく見かけます。10年前からすると本当に部屋を借りやすい条件になっているな
と思います。フリーレントの条件緩和を切り出すと、何か問題がある部屋ではと疑う慎重な人もいますが、大抵の場合は、空室
率上昇にともない、仕方なしに条件緩和をしている物件が多いのが実情です。そのことは実際に室内を内覧すれば一目瞭然です。
なかなか難しいことですが、表面上には出てこない貸主側の事情を読み取れれば、交渉上手な部屋探しマスターになれるのでは
ないでしょうか。